子供の能力と合否判断
学受験以降の受験では、志望校選びは非常に簡単です。 自分の偏差値に見合った学校の中から、好みの学校を選択する・・・ですね。いくら恋いこがれる学校があっても、自分の偏差値とその学校の偏差値に、あまりに大きな差があれば、残念ながら合格は叶わないものです。確固としたデータから算出された各学校の偏差値、自分の偏差値は、合否判断をする場合の、大変わかりやすいバロメーターとなります。 しかし、小学校受験の合否は、なかなかそんなふうにわかりやすくはありません。 データの時代になって、今では小学校受験にも、しっかり偏差値という考え方が入ってきています。大きな教室では中学受験同様、学校の偏差値、受験生の偏差値を出し、データとして分析しているところもあります。ただ、小学校受験の場合は、実際の合否は、中学受験のようには、この偏差値の考え方通りにはいかないのが現状でしょう。
私立の小学校受験の場合は、必ずしも、志願者の能力、数値的に表される力だけによって、合否の判断がなされないものです。そうである以上、志望校選びは、数値重視というよりも、あくまでもっとアナログなもの・・・自分の感覚に頼るべきものだと私は確信しています。 そういう意味でも、志望校を選択するためには、興味をもった学校の説明会だけではなく、ぜひ積極的に、参加可能な行事には参加してみましょう。そうすれば、自ずとその学校の「空気」「雰囲気」が伝わってくるものです。在校生や在校生のご父兄から、ぷんぷんと発散される「気」や、学校という空間に流れる「空気や温度」を、ご自分の肌で感じる・・・とっても大切ですよ!
もし、世の中で、志望校をあっさりと決めることの出来る状況があるとすれば、それは、ご両親もしくは親のどちらかがその学校の卒業生であり、まさに自分がその「空気や雰囲気」の中で育ち、ぜひわが子にも同じ環境を!!と考えているご両親の場合。もしくは、すでに上の子供がその学校に通い、ご自分たちが縁あってすでにその中の人間になっている場合。この2つの場合だけでしょう。
らためて書きますが、志望校選びは、子供の能力的なものだけで判断してはいけない、ということです。 そして、もしあなたが、学校説明会や運動会等の行事に足を運び、その学校というものを感覚的に捉えた時、何かそこに違和感があるようであれば、きっとその学校は、志望校には成り得ない教育環境なのでしょう。 要するに、親が違和感を感じる、ということは、きっと学校側も、その家庭やその両親から、学校が目指しているもの、学校が求めているものとは「違う何か」を感じ、この家庭は違うかな・・・と判断されるに違いありません。
大変残酷なことを言えば・・・ わが子が誕生したその瞬間から、「おー、この子が私たちの愛すべきわが子!私達夫婦は、是非この子を、○○学校に入れてあげたい!伝統あるあの○○学校で学ばせたい!」という思いをもって、本当に子供が幼い頃から、何年間もその学校への強い思いの一念で、必死にわが子に準備をさせたとしても・・・そして、幸いにもその子が、受験の準備の甲斐あって、利発な子供に成長したとしても・・・その○○学校の校長先生が、親子面接でそのご家族と顔を合わせ、2,3の質問をしたとたん「・・・・むー、このご両親の雰囲気、このご家族が醸し出す空気は、うちの学校が求めているものとは違うな・・・」とお感じになり、首を傾げられたとたん、残念ながら、合格をいただく・・・ということはあり得ない。これが小学校受験の現実であり、見えない、読めない部分といえるでしょう。 親の熱意が十分にあっても、子供に高い能力があり、そういう意味での評価はされても、私立小学校受験の合否は、やはりそれだけではないものなのです。 そういうことを十分に理解し、志望校を選ぶときには、偏差値や学校説明会や学校要覧の字面だけではなく、ご自分たちの「五感」を大切にしてください。