10年後に役に立つ、中学受験準備?!
受験準備とは、中学受験にだけ必要なもの、と思っていませんか?
中学受験が終われば、覚えた星座の名前も、豆電球の点き方も、各県の特産物も、山脈や川の名前も忘却の彼方・・・なんて。
いえいえ!大人の固い頭では、昨日覚えた知識も、一晩寝ると忘れてしまう、という悲しい現象が起こりますが、10歳前後の子ども達の脳の記憶力には、目を見張るものがあるものです。
ここでちょっと考えてみてください。
中学受験準備は、最低2年。長い子どもでは4年、5年とする場合もあります。その長きに渡り、子ども達は計算力を養い、文章を読み、書き、漢字を覚え、豊富な社会や理科の知識を頭の中に詰め込んでいきます。そして、その知識を、様々な方法で出しては片付け、頭の中で整理する・・・これが中学受験の準備なのです。
子ども達は、国、算、社、理の4教科をまんべんなく学び、小テストや定期テストという関門のために、繰り返し、繰り返し勉強しては頭の体操をしています。これは、中学受験の6年後にやってくる「大学受験」とは、かなり趣を異にするもの、なのですよ。
大学受験の場合、確かに国公立大学を受験するためには、センター試験で全教科を受験しなくてはなりません。そのためには、全教科の勉強をし、準備をしなくてはならなくなります。
しかし、もし、私立大学を受験すると決めてしまうと、自分の苦手な教科の受験は回避できるのです。そして、大学受験の場合は、中学受験よりもはるかにシステマチックな出題であるため、予備校での受験準備は、かなりテクニックを会得することによって達成できるようになっているのです。
しかし、中学受験はどうでしょう?最終的に2教科、3教科受験に決めてしまわない限りは、準備は4教科。それも、柔らかい頭脳、記憶力の高い時期に繰り返し勉強する4教科です。
これは何を意味しているか、と言うと・・・中学受験で学んだことは、すべて子ども達の「身に付いていく」ということです。計算力として、漢字を読み書きする力として、文章力、読解力として、また一般常識的な知識として・・・何とすばらしいことでしょう!
高校で学ぶ数学は、どんなに良い成績をとったとしても、社会に出た後ではあまり頻繁に使う、ということはあり得ません。せいぜい、日常生活で使うのは足し算、引き算、かけ算、割り算で、決して微分や積分ではありません。
化学記号も然り。忘れたからといって、社会人として恥ずかしいことでもないでしょう。
でも、社会人となった後も、中学受験で繰り返し学んだことは、その子の「身に付いた力、豊かさ」として意味を持っていくのです。
それに。
中学受験の役10年後、子ども達が就職活動に向かう時、非常に大きな意味を持つことでしょう。
今はまだ幼い子ども達を相手に、中学受験準備に向かっているご家庭では「???」と思われるかもしれませんが・・・
就職試験時、必ずといってよいほど最初に受験するSPI(SPI2)テスト。SPI(Synthetic Personality Inventory)テストとは、1974年にリクルート社の前身である日本リクルートセンターの人事測定事業部が開発した適性検査の一種で、能力適性検査と性格適性検査の2つに分かれています。その中でも、能力適性検査では能力的適性(言語能力・非言語能力)が判定され、国語力や計算力が問われます。これはまさに「国語と算数」の力、なんですね。
社会や理科として覚えたことも、間違いなく一般常識として、その子の豊かさの一環です。
さあ、近視眼的に中学受験準備を捉えるのではなく、たまには大らかな気持ちで、ずっとずっと先のことを想像し、肩の力を抜いてください!