毎日戦う子供達

お母さんは知っていますか?「いってきます!」と玄関を出た瞬間 から、子ども達は、いろいろなものと戦っている、という事を・・・

★ 小学校3年生 まいちゃんの場合
私ね、洋子ちゃんと一緒に学校に行きたいの。でもね、洋子ちゃんはいつも、のあちゃんと駅のホームで待ち合わせをして、同じ車両に乗っていくんだ・・・昨日、私、勇気を出して洋子ちゃんに言ってみたの。「洋子ちゃん、私も洋子ちゃんと一緒に行きたいって思ってんだけど・・・明日から、一緒に行っていい?」って。そしたらね、洋子ちゃんは「いいよ!一緒に行こう!」って言ってくれたんだよ。私ね、「え?・・・むー・・・ごめん、私、のあちゃんと一緒に行きたいから・・・ごめんね。」って言われちゃったらどうしようって、ものすごくドキドキした・・・すごく嬉しい!明日は、早起きしよう!
 でも、ママはこう言いました・・・
「まいったら、何をぐじゃくじゃ言ってるのよ。誰と行ったって同じでしょう?どうせ同じ学校に行くんだから。それに、のあちゃんを怒らせたらどうすんの?あの子のママ、うるさいんだからねえ。やだー、ママ、何かのあちゃんのママに言われるのー」
★ 小学校2年生 颯太くんの場合ぼく、鉄棒でやっと逆上がりができそうなんだ。でも、まだあんまり上手じゃないから、学校の鉄棒で朝、練習をしたいんだけど、朝は上級生のクラブ活動で早くからおにいさんやおねえさんが鉄棒を使ってるんだよ。昨日、おにいさんの横で見てたら、何だ!って言われて、ちょっと怖かったけど、言ってみた。「いつ、鉄棒使えますか?」って。そしたら、「おまえ何年生?2年?だったら、火曜と木曜の放課後に使えばいいじゃん。ぼくら、塾行くからさ。」って言われた。だからママ、火曜と木曜、ちょっとだけ放課後に残って、鉄棒の練習をして帰ってくるね!  でも、ママはこう言いました・・・
えー?まだ逆上がり、出来なかったんだっけ?やだー。もうみんな、できるでしょう?颯ちゃん、ビリ?それにさあ、火曜はプールだし、木曜はピアノじゃない。学校終わったら、すぐに帰ってこなくちゃ、間に合わないわよ。ダメダメ!
 いかがですか?
小学校低学年の子ども達だって、こんなふうに、自分で考えながら、一生懸命にがんばって学校生活を送っているのです。
 これが、もっと知恵がついて、人間関係も複雑になっていく高学年になったとしたら?もっともっと複雑になっていく中高生になったら?
 戦う対象はグーンと増えていくのです。
子どもは、じつは未就園児の幼い頃から、自分達の世界を持ち、その中で生きているのです。たとえば、幼年期の公園遊び。お砂場での様子、遊具で・・・2歳は2歳なりに、3歳は3歳なりに、その世界の中で自問自答をし、人と駆け引きをしながら時間を過ごしています。
たとえば、怖そう子には近づかないようにしていたり、弱そうな子には、ちょっぴり意地悪な事を言い、ストレスを発散・・・とにかく、一生懸命に賢く生きていこうとしています。

 親とは勝手な生き物ですから、わが子にいつも「誰とでも仲良くしなさい!」などと言います。特に、わが子が小学校に入学したら、親の意識の中で「急にわが子が大きくなった」と思い込み、自分が思い描く利発で積極的で好奇心に溢れた小学生像をわが子に求めます。
 しかし、大人の世界がそうであるように、人と関わって生きていくのは、なかなか大儀なものです。それは子どもでも同じ、ですよ。
小学校から帰ってきたわが子を待ち構えて「おかえりなさい!今日はどうだった?先生に何か言われた?お友達とは仲良く出来た?楽しかった?」などと機関銃のようにたずねるのです。そして、あまりわが子が多くを語ろうとしないと、「ちゃんとママにも話してよ!ママ、とってもあなたのお話を楽しみにしてるんだから!」と勝手な事を言ってみたり、「どうしてしっかり話せないの?もう小学生になったのでしょう?そのくらい、きちんと話せないと、ダメじゃない。」と脅すママもいます。
 でも、子どもだって、毎日毎日同じ質問にはうんざりするし、また、話したい事もあれば、ちょっと黙っていようかな、と思うような事も心の中には持っているでしょう。
 とにかく!子どもは毎日、お友達との関係や、勉強や、先生とのつながりや・・・そういうものすべてと「戦いながら」生活しているのですよ。だからこそ、帰宅してからのママとの時間、自宅での時間は「心底安らぐ時間、癒される穏やかな生活」にしてあげなければなりません。
 決して子ども達は、のほほーん、のんびり~と、団体生活をしているわけではなく、一日に何回も、大小さまざまなものと戦っていることをお忘れなく!

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